デザイン科学科より
浪江町の視察&デザインプレゼンテーション
VDコース2年生
「社会と関わるデザイン」の学習の一環として、「頑張る復興の町応援企画」というテーマのもと、浪江町の仮設店舗にある定食屋“キッチン・グランマ”のブランディングデザインを行いました。
*6月9日(土)視察とプレゼンのために「まるしぇの日」というイベントに合わせ、5名の生徒が浪江町を訪問しました。
午前…浪江町内の視察
海に近い請戸小学校跡。津波で破壊された壁が痛々しく、時計も津波が到達した時間で止まったままになっていました。南の方角を見ると、福島第一原子力発電所の煙突が見えました。直線距離で約5キロ、この場所は放射線量は低いのですが、原発までの近さに息を呑みました。
浪江駅付近も視察しました。壊れたままの建物がそのままになっていたり、避難指示が解除されていても人の姿がほとんどなく、しんとした様子に驚きました。
午後…キッチン・グランマでデザインのプレゼンテーション
店長さんにデザインのプレゼンテーションをさせていただきました。具体的な内容は、①浪江町プレミアム付き商品券用の食券、②店名ロゴタイプ、③マスコットキャラクター、④宣伝ちらし案、の4点です。各自、プレゼンボードを使って、コンセプトなどをお伝えしました。初めてのプレゼンでとても緊張していましたが、店長さんがうなずきながらにこやかに聞いて下さったので良かったです。
この日、「まるしぇの日」に合わせて、ラジオ福島の「風とロック」という番組の公開放送が行われていました。帰り際に、番組のメインパーソナリティのクリエイティブディレクター・箭内道彦さんとお話しすることができました。
箭内さんは東京藝術大学デザイン科の准教授をされており、デザイン科学科の生徒にとっては憧れの先生でもあります。その箭内さんに、プレゼンで使った作品の講評までしていただき、大感激の時間となりました。
震災被災地を訪れてみて、震災の被害がそのままになっている海岸沿いや、中間貯蔵施設にフレコンバックが積まれていく様子など直接目にした浪江町の様子に、復興という言葉の意味を深く考えさせられました。けれども、浪江町を元気にしたい、とおっしゃる店長さんを始め、町のために働く方々や、イベントを盛り上げようと集まった県内外の方々の明るく賑やかな姿に元気づけられ、復興は人が作る、ということも感じることができたと思います。
今後は、デザインの一部を店長さんのご要望、ご意見をもとに改良し、再度提案させていただく予定です。また、視察の感想として、「デザイン科学科の自分たちに、まだできることがあるのではないか」という意見も出ました。「デザインは社会の課題を解決する、世の中に優しい行為」という知識を実体験できた貴重な機会となったため、これからの創作活動に反映させていきたいと考えています。